概要
- 福島県双葉郡広野町の委託事業によるアーティスト・イン・レジデンスです。
- 期間は2025年の1月から3月までです。
- 広野町に伝わる「日の出の松」伝説をモチーフにした作品制作をしていただきます。
- 制作費補助あります(あまりにも高額なものはカバーしきれないと思います)。
- 作品制作に関しては当プログラムの専任キュレーター(加藤晃生)に常時オンラインにて相談可能です。
- プログラムの一環として一流の現代アーティストによるセミナーおよび作品中間講評、二地域居住のアーティスト活動のためのレクチャー等、各種のレクチャーを予定しています。また1/25-26に広野町で開催される「余白のアートフェア」内での各種のレクチャー(アーティスト・ステートメント作成、ウェブマーケティング、CV作成など)を無料で受講できます。
- 滞在は連続滞在ではなく、月に1度、週末や連休を中心にした短期間の滞在を繰り返す形式です。滞在日程については、招待者選出後に調整いたします。ただし2025年1月25-26日に広野町で開催される「余白のアートフェア福島広野」の際には、出来るだけ現地入りしていただければと思います。 ※「余白のアートフェア」出展予定アーティストさまも応募可能です。
- 往復旅費、宿泊は全額補助です(食費は補助対象となりません)。 ※宿泊先はハタゴイン福島広野になります。
- 3回の広野町滞在のうち1回はご家族も帯同いただけます。※ご家族の旅費・滞在費の一部についても当方で負担いたします。また、滞在中にお子様向けのプログラミング教室などの提供について調整中です。
キュレーターから
広野町の海沿いには、かつて名勝として知られた立派な松の木がありました。
この木は「日の出の松」と呼ばれていて、森鴎外の「山椒大夫」にも関連する伝説が語り伝えられていました。それはこのようなものです。
昔、このあたりに竹という女性がいました。竹は夫と子供と幸せに暮らしていましたが、あるとき不幸にも夫と子供と死別してしまいます。嘆き悲しむ竹を紹介するものがあり、磐城の判官正氏という人の子どもたちの乳母となりました。この子どもたちが安寿姫と厨子王丸です。しかし今度は安寿姫と厨子王丸が母親や竹とともに、人買いの山椒大夫に誘拐されてしまいます。竹は悲憤のあまり身投げして死んでしまいます。
それからしばらくして、広野に大蛇があらわれ、海岸に生えていた松の木に巻き付きました。これを凶兆と考えた村人が松の木を切ると、切り口から血が流れ出したそうです。村人たちは竹が蛇に姿を変えて故郷に戻ってきたのだと噂し、祠を建てて竹を祀りました。これが今の姥嶽蛇王神社の由来です。
松の木は「血の出の松」と呼ばれていましたが、それがいつの間にか「日の出の松」と呼ばれるようになりました。
この松の木は陸前浜街道沿いにあったので、街道を行き来する旅人たちに愛でられてきましたが、2004年に枯死してしまい、今は若い松の木を育てているところです。
今回、アーティストの皆さんにお願いしたいのは、この伝説あるいは松の木をテーマとした現代アート作品の制作です。単に海沿いに生えている立派な松の木の絵を描く、あるいは伝説の一場面を作品にするというものではなく、見る者(あるいは聴く者、触る者、体験する者)の想像力を目一杯刺激するような仕掛けによって、この伝説、あるいは広野の人々に長年愛された松の木の存在を感じることが出来るようなものを作っていただくということです。
このアーティスト・イン・レジデンスがケアギバー(育児・介護)経験者を多くお呼びするのは、伝説の主人公である竹もまたケアギバーであったからです。
加藤晃生(博士・比較文明学)
応募者の条件
必須
- 広義の現代アート(後述)の制作活動を1年以上継続していること。
東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県のいずれかに居住している(住民票がある)こと。- 1-3月の間に4回程度、広野町まで来てアーティスト・イン・レジデンス活動を行えること。
- 日本国籍、あるいは日本永住権、あるいは日本政府の高度専門職ビザ、就業ビザ、留学ビザ、特定ビザ、起業ビザを取得していること。
- 反社会的勢力(極左暴力集団なども含みます)との関係が無いことを誓約できること。
- 日本国の法令を遵守し、また広野町における活動中はアーティスト・イン・レジデンス実行委員会およびアーティスト・イン・レジデンス活動が行われる場所の管理者の指示に従うことを誓約できること。実行委員会に事前に相談しないゲリラパフォーマンス等は厳禁です。万が一そういうことをされた場合には直ちに警察に通報するなど一切の斟酌無しで対処いたします。
(注釈)広義の現代アートとは、次に挙げるようなメディアを用いた同時代的な(伝統的な手法やテーマに留まっていない)アート作品を想定しています。すなわちペインティング(油彩、水彩、アクリル、岩絵具、その他の各種塗料を用いた2次元の表現。技法としては西洋絵画、日本画、水墨画、ストリートアート、その他の民俗的な絵画技法各種)、ドローイング(線による2次元作品)、書道、カリグラフィー、刺繍、各種のスカルプチャ(石彫、木彫、鋳造、溶接、鍛造、縫いぐるみ、プラスチック、紙などの3D作品)、メディアアート(XR、ビデオゲーム、ビデオアート、CG、サウンドアートなど)、ミューラル、テキスタイル、パフォーミングアートなど。
望ましい(優先順)
- 将来的に広野町にアーティストとしての活動の拠点の一つを置くことを積極的に検討している、または検討する意思がある方。例えば「大型作品の制作は広野町で行う」「広野町に倉庫やアトリエを持つ」「広野町に住みつつ別地域に営業拠点を置く」などです。もちろん完全移住の検討は大歓迎です。
- レイトスターター(35歳を越えてからアーティストとしての活動を始めた方、または育児・介護・病気療養などで25歳から34歳までの間に合計5年以上のブランクがある方)であること。
- 2024年1月24日、1月25日、26日に広野町に滞在出来る。
- 2024年1月25日、26日に広野町に滞在出来る。
募集要項
必ず提出する書類(全て日本語に限る)
以下の書類をGoogleフォームにて送信してください。
履歴書
- 学歴、個展・二人展歴、グループ展歴、受賞歴、コレクション収蔵歴と項目を分け、それぞれ記載してください。
- 新しいものから順に記載する形式でお願いいたします。
- テンプレートがダウンロードできます。
ポートフォリオ
制作年順で10作品まで、ファイル名を「制作年_タイトル」としてアップロードしてください。
アーティスト・ステートメント
- 審査員には中学生や高校生も参加予定です。また、制作した作品をお披露目する「完成報告会」には、美術(史)に詳しくない方が多く含まれることを考慮し、専門用語や影響を受けたアーティスト名の多用は出来るだけ避けていただければ幸いです。
- 現代アートや西洋美術史に不案内な方でも、調べずに理解できる内容が望ましいです。
- 記載内容は「どんな素材や技法を用いているか」「何を表現しようとしているか」「現在の表現手法に至るきっかけや思い」の3点について、日常的な言葉で簡潔に表現してください。
- 文字数は日本語400字程度が目安です。
追加で提出可能な書類(書式自由)
- 作品制作企画書
- 広野町を含む将来的な二地域居住についての見通しについての簡潔な説明
公募期間が短いのでいずれも必須ではありませんが、審査の際には参考資料として審査員にお渡しします。特に二地域居住についての見通しは簡単なものでも結構ですので、出していただいた方がプラスになると思います。
選出された場合の作品制作企画に関してはキュレーターの加藤晃生が十分なサポートを提供します。また、メンターとして愛☆まどんな氏がリモートによるセミナーやメンタリングをご提供くださることになっています。ですから、制作企画が未定であっても問題は無いと事務局では考えております。
公募期間
2024年12月10日から12月20日まで。
審査方法
アーティスト・イン・レジデンス全体のメンターをお願いしている愛☆まどんなさまほか、アーティストや広野町在住・在勤・在学の方々を加えた審査を予定しています。