令和7年度 広野アーティスト・イン・レジデンス「高倉山」 公募概要

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はじめに

 広野町は令和7年度のアーティスト・イン・レジデンス(以下「AIR」とします。)事業による滞在アーティストを公募いたします。

 広野町は福島県の浜通りにあり、東日本大震災では津波による大きな被害を受けました。その後は町の北部にあるJビレッジスタジアムが福島第一原発事故の対策において大きな役割を果たしたことでも有名です。また広野町は山海の豊かな自然に恵まれた土地で、町の北端には岩沢サーフポイントがあり、また1986年にはハドロサウルス科とティラノサウルス科の化石が、2016年には8800万年前のメタセコイアの化石が、2020年頃にはこれまでほとんど発掘の記録のない珍しいアンモナイトの化石が発見されています。

 しかしながら、全県に魅力的な観光資源が散らばる福島県の中で広野町はなかなか注目を集めることが難しく、地域の魅力の発信の強化が課題となっています。このため、広野町では地域の伝統行事や伝説等をテーマに設定し、アーティストが広野町民と交流しながら滞在制作を行うAIRを令和5年度(2023年度)より実施してきました。令和5年度は広野町の伝統的な塞の神行事「鳥小屋」、令和6年度は広野町に平安時代から伝わる安寿と厨子王丸ゆかりの「日の出の松」伝説をテーマとした滞在制作を実施しましたが、今年度は「高倉山」をテーマとした滞在制作となります。

 広野AIRを経験されたアーティストの皆さんはその後、目覚ましい活躍を続けておられます。奮ってご応募ください。

高倉山とは

 広野町には北から順に北迫川、浅見川、折木川の3本の川が流れていますが、高倉山はこのうち浅見川と折木川の間にある標高122.5メートルの山です。遊歩道が整備されていて、気軽に登ることができます。

 戦国時代には、今のいわき市から富岡町にかけての一帯を支配していた岩城氏によってこの山に城が築かれました。ところが1534年に北から攻め込んできた相馬氏により、この城は奪われてしまいます。その後、岩城氏と相馬氏の和睦によって高倉城は岩城氏に返還されましたが、関ケ原の戦いで岩城氏は徳川家康の命令に従わなかったため、岩城氏は浜通りの領地を没収され、高倉城も廃城となったと考えられています。

 令和7年度の広野AIRでは、広野町の歴史と深く結びついたこの山をテーマにした滞在制作の企画を広く募集いたします。

滞在制作企画の考え方

  • 必ずしも戦国時代の相馬氏と岩城氏の戦いをテーマとする必要はありません。
  • 高倉山の動植物や地形、地質、鉱物、高倉山にまつわる伝説、町民の皆さんの高倉山についての思い出など、自由な発想でアート作品の企画を構想してください。
  • 必ずリサーチ(文献調査、聞き取り調査、実地踏査など)の計画と、それをもとにした作品制作(素材、形式など)の両方の説明を準備してください。
  • 成果物として想定されている作品の形式は絵画、スカルプチャー、写真、ビデオアート、ミクストメディア、テキスタイルアート、メディアアート、インスタレーション、サウンドアートなどです。

スケジュール(予定)

  • 2025年9月26日(金) 公募開始
  • 2025年10月17日(金) 応募締切
  • 2025年10月27日(月) アーティスト決定
  • 2025年11月 広野町でキックオフ滞在(日程は招待アーティスト確定後に調整します)

※月末に町内で開催される「まちなかマルシェ」に1回以上参加してください。町民の皆さんと仲良くなるための最短の手段です。
※町民等向けのワークショップを1回以上開催してください。
※期間中に広野町を含む二地域居住、または広野町への移住について一緒に考えるワークショップを実施します。二地域居住とは広野町に第二の拠点(共同アトリエなど)を置くというようなイメージです。

  • 20226年3月上旬 広野町内で「お披露目会(滞在アーティスト全員による成果発表グループ展のレセプション)」を開催(参加必須)
  • 20226年3月中旬 AIR終了(事務局に必要な書類を全て提出)

応募資格

  • 東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県に現住所があること。
  • 応募時点で18歳以上であること。学生応募可。
  • アーティストとしての活動歴が1年以上あること。
  • 期間中は毎月1回、広野町まで来てAIR活動を行えること。
  • 日本国籍、あるいは日本永住権、あるいは日本政府の高度専門職ビザ、就業ビザ、留学ビザ、特定ビザ、起業ビザを取得していること。
  • 広野町民の皆さん、事務局職員、同時期に滞在制作を行う他のアーティストと良好な関係を築く意志があること。
  • 反社会的勢力との関係が無いことを誓約できること。
  • 滞在制作の全期間中、日本国の法令を遵守し、また広野町における活動中はAIR実行委員会およびAIR活動が行われる場所の管理者の指示に従うことを誓約できること。

滞在制作条件

  • 2025年11月から2026年3月までを令和7年度AIRの期間とします。
  • 2026年3月に広野町内にて「成果報告会(滞在アーティスト全員による成果発表グループ展のレセプション)」を開催します。レセプションは必ず参加してください。
  • 食費を除く宿泊費(シングルルーム、最大25泊)を支給。宿泊場所はハタゴイン福島広野を予定。
  • 居住地から広野駅までの往復交通費(上限5往復)を支給
  • 作品制作費(上限5万円、領収証に基づく実費)を支給
  • 制作された作品は広野町に寄贈となります。エディション作品の場合はエディションナンバー1が広野町の財産となります。
  • 期間中1回、家族同伴での広野町滞在が可能です(宿泊は広野町が運営している「お試し住宅」を利用して頂く予定です)。
  • 期間中には毎月、活動予定表と活動報告書(テンプレートあり)を事務局に提出していただきます。
  • 二地域居住・移住検討ワークショップ実施後には、議論の内容を各自でまとめた報告書を提出していただきます。この内容は広野町の移住促進事業の参考資料として関係各所と共有されます。報告書の作成にあたっては事務局がサポートします。

応募書類(全てテンプレートを配布するのでそれを利用してください)

  • 履歴書
  • アーティスト・ステートメント
  • ポートフォリオ
  • 滞在制作企画書
  • 広野町についての簡単なエッセイ(広野町への来訪経験、広野町についてのイメージ、自分と広野町の関係が将来どのようになっていくことを希望するかなど、内容自由。分量は600-800字程度)

募集人数

3名

審査員

備考

  • 期間中は各自の予定に応じて広野町来訪の日程を柔軟に調整していただけますが、キックオフイベントと成果報告会(滞在制作作品のグループ展の初日レセプションのこと)は全員参加となります。
  • キックオフイベントでは高倉山についてのレクチャーを行いますので、日本史は苦手という方でも大丈夫です。
  • 公募期間中にウェブ説明会を実施いたします。また問い合わせも随時受け付けています。
  • 審査では妊娠・出産・育児などでアーティスト活動が十分に行えなかった期間がある方のための点数補正の仕組みがありますから、上記の経験をお持ちの方も安心してご応募ください。
  • 町内での移動は徒歩またはレンタサイクルとなります(広野町の冬の気候は東京とほとんど変わりません)。自動車を使わなければ行えないリサーチがある場合には事務局にご相談ください。
  • 事務局スタッフはアーティストの皆さんの滞在制作が成功するよう全力で支援いたしますが、それぞれのアーティストが積極的に行動してリサーチやコミュニケーションを行うことが大前提のプログラムです。
  • 本プログラムはアーティストが地域に滞在しながらリサーチと制作を行うことで、アーティストとしてのスキルアップ・キャリアアップをしていただくことを眼目としています。作品制作委嘱(コミッションワーク)プログラムではない点をご理解ください。

応募フォーム

こちらの応募フォームに書類をアップロードしてください。

アップロードする前にもう一度確認を!

☑ 履歴書の書き方は正しいですか? 特に履歴の昇順と降順は多くの人が「わかっていたはずなのに間違える」ので、もう一度チェックしましょう。

☑ アーティスト・ステートメントは等身大の文章になっていますか? 難しい文章は伝わりません。

☑ ポートフォリオはあなたが広野町で作りたいものが審査員に伝わる最善の5作品になっていますか?

☑ 滞在制作企画書やエッセイは生成AIに書かせたままを貼り付けていませんか? あなたの息遣いや体温が伝わる等身大の言葉が最強の武器であることをお忘れなく。

☑ ファイルの名前を「広野AIR2025応募_あなたのフルネーム.docx」に書き換えましょう。

☑ 最後に、赤字で書かれた注意書き部分をすべて消去しましょう。これが残っていたら事務能力に難ありとして大きく点数を落とされます。