昨日は聖心女子大学にて、広野町と東京都心の二地域居住を実践しておられる「engawanoie」の高橋様に、広野アーティスト・イン・レジデンス招待アーティストの4人と聖心女子大学の学生さんを対象にした二地域居住についてのレクチャーをしていただきました。

engawanoieは東日本大震災による全町民への避難指示が解除された後、高橋さんが古民家を購入して始められたアーティスト・イン・レジデンス兼ギャラリーです。
高橋さんが二地域居住に至った経緯
高橋さんは広野町出身で、東京の大学に進学された後、東京で就職。以降、ずっと東京にお住まいでしたが、東日本大震災の発生をきっかけとしてサーフィンを始められました。避難指示が解除された広野町を訪れると、実は広野町には非常に有名なサーフスポットが存在しており、サーファーのコミュニティが存在していることがわかりました。
※令和6年度にベルリンから滞在制作に来たナディン・バルドウさんも、広野町のサーフスポットはドイツでも有名とおっしゃっていました。
広野町のサーファーのコミュニティに参加された高橋さんは、誰でも気軽に立ち寄れるような場を広野町に作ることを考えるようになり、駅前の古民家を購入・改修して「engawanoie」を始められました。
engawanoieとサーファー・コミュニティ
engawanoieでの活動の中でも最も大きなものが、毎年、東日本大震災発災の日付である3月11日に開催される「3月11日に波に乗ろう」です。昨年のこのイベントには広野アーティスト・イン・レジデンス招待アーティストのdollyさんと鈴木萌子さんも参加されました。
高橋さんによると、海沿いで大災害が発生したとき、最初にそこに戻ってくるのは地元のサーファーたちなのだそうです。それだけローカルの海とサーファーの絆は強いのです。
同時にサーファーは、サーフィンというアクティビティを通して世界各地の仲間と繋がってもいるので、広野町のサーファー・コミュニティも和歌山大学観光学部のアダム・ドーリング教授を通じて、2004年にスマトラ沖地震による津波に襲われて壊滅したインドネシアのアチェ州のサーファー・コミュニティとの交流を続けておられるそうです。

広野町から都心に通勤すること
現在、高橋さんは週の半分を広野町で、もう半分を東京都心で過ごすという二地域居住を実践されています。広野駅から東京駅まではおよそ2時間40分かかりますが、高橋さんにとっては、特急ひたちでの行き来は非常に贅沢な時間になっているそうです。全席指定の特急ですから快適ですし、四季を通じて窓から見える景色は(我々も強く同意するところですが)信じられないほど美しいものです。
月に4度の往復で電車代がおよそ52000円、プラス都心でのルームシェアが二地域居住のコストとなっていて、金額的にはそれなりに大きなものですが、都心に住んでいた時とは違って常に情報を集めていなければという焦りも無くなり、また広野町のサーファー・コミュニティで出会う多種多様な人たちから得られるアイデアや閃きは都心一箇所定住では得られないもので、「媒介者であること」をアイデンティティの重要な要素と位置づけている高橋さんにとって、都心と広野町の二地域居住のメリットは極めて大きいそうです。




